昭和53年製がこわれた

会社のある機械。

昭和の頃からある機械。プレートを見ると「昭和53年製」とある。

自分ながら結構長いこと生きてるなとは思うんだけど、あんまり年齢変わらない。僕が小学校に入った頃にこの機械は作られてずっとこの会社で働き続けてきた。

最近の機械は電子制御だしケーブルでパソコンと繋ぐとデータを読み込んで自動でやってくれたり、プログラムを打ち込んでやるとその通りの順番で正確に加工してくれる。

でも昭和53年製にはそんなものはついてなくて、レバーを左右にねじってやると加工したい寸法が変わる。いわゆる超アナログな機械。加工していく寸法も目視で確認しなくてはいけない。面倒くさい、でも間違えにくい。

そろそろ読者の方ならわかってると思うんだけど、僕はこの昭和53年製が大好きだった。めんどくさいし時間がちょっとかかるし音が大きいしたまに機嫌が悪いけどそれはそれで大好きだった。

どの機械をつかってもいいときは必ずその機械の電源を入れた。

それが今日急に壊れた。

朝から普段通り電源を入れて使っていたんだけど、急に動きが悪くなった。寒い日はたまに機嫌が悪いこともあるから暖気が足りなかったのかと電源を入れて少し待っていると焦げ臭い。

焦げ臭い、から煙が出て発火するまであっという間だった。消火器をつかうと現場の製品が全滅するから消火用に汲み置きしているバケツの水を必死で掛けた。

火が消えて煙が止まって水蒸気もあがらなくなってからカバーを外して中をのぞいた。おおよその原因は特定できたし部品を変えたらなんとかなりそうな気がした。

でも「その型番は廃番になっていて、部品が手にはいらないので修理することができません」懇意にしているメーカーの担当の人が言うのだから間違いないのだろう。

「サキさん、減価償却だって終わってるんだししょうがないよ。そんな古い機械が今まで動いたほうが不思議なぐらいで。買い換えるか方法考えようよ」と社長は言う。

もしかして注油が足りなかったのかな、点検が漏れてたのかな、年末の大掃除のときのメンテナンスで入ってはいけないところに油が入ってしまったのかな、普段からもっと大事に使っていたらもっと使えていたのかな。

「無事消えてよかった」「やけどしなくてよかった」「十分活躍したからしょうがないよ」「新しい機械買えるね」「あれうるさかったから」

声を掛けてくれる人はみんな優しい。でもなんかその言葉は半分しか耳に入ってこなくて「僕があの機械を壊してしまった」がぬぐえない。

ドリカムの「サンキュ」の歌詞が目にしみる。

日曜日はテニスが終わったら気分を変えに散髪行こう。誰か付き合ってくれる?