100円玉が出てきて仕方がない

今日の3時の休憩のとき、自販機に行った。

ホットのコーヒーを買いに。コーヒーを飲みながらiPoneで世界を眺めることにしている。

田舎町の小さな会社の中にいた自分が15時から15分だけ世界に一瞬だけ羽ばたける。その時間っていうのはLINEしてるかTwitterという世界の最先端に顔をのぞかせるのだ。

今日もいつもどおり自販機に行って小銭入れから100円を取り出し投入する。買うのはブラックのコーヒーって決まってるから手をボタンに近づけていく。

お金を入れる、ボタンを押す、コーヒーが出てくる。
そのルーティーンが、壊れた。

入れたはずの100円玉が音を立てて返却口から出てくる。センサーが誤認識でもしたのだろう、よくあることだ。返却口に手を伸ばすと100円玉がこちらを見ている。

「もう一度優しく入れてください」

哀願された私は100円玉を手にすくい取ると再び投入口にそっと流しこむ。まるで内臓の中を動き回るように入れた100円玉は自販機の中を縦横無尽に動き回り、そしてあっという間に返却口で、果てた。

なぜだ。なぜ入らないのだ。久しぶりで緊張してるのか。

以前ニュースになったことがある。とある硬貨と外国のとある硬貨が似ていて、少し細工すると自販機が間違えてしまう。そんな詐欺事件があったはずだ。もしかすると私は今もしかするとその犯罪行為に加担してしまっているのかもしれない。

あれだ、名探偵コナンに出てくる真っ黒で目だけ生々しいあれになっているのかもしれない。

硬貨の確認が必要だと考えた私は手に取った100円玉をしげしげと眺めてみる。先程あれほど哀願するような目をしていた100円玉はよくよく見るとこちらを睨みつけているように感じられた。

その目にすこし戸惑った私は優しく100円玉を握ってみるとあることに気がついた。100円玉がすこし薄い。さらに眺めると私はその原因を深く理解することができた。

その100円玉は私より年上だったのだ。

「昭和43年」と書かれた100円玉はたくさんの修羅場を乗り越えてきたのだろう、様々な手に握られてきたのだろう、あきらかに他のそれらに比べると薄っぺらく感じられた。そして縁を飾るギザギザもあきらかにすり減っている。

生まれて50年近くたつとお金も人間もすりへっていくのだな。

そう思うと急にその100円玉が愛おしくなり、小銭入れにそっと戻した。その横にあった100円玉を掴むと私は投入口に入れたのである。

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そんな古い硬貨なんてそうそうないよね、と思いつつ小銭入れを探ってみると、さらにお姉さんな50円玉が出てきた。みんなまだまだ頑張っているんだな。

僕も負けないように明日もインターネッツでがんばる。